【令和9年度から】償却資産の免税点が180万円に|申告実務Q&A

【令和9年度から】償却資産の免税点が180万円に|申告実務Q&A

この記事でわかること

令和8年度税制改正で、固定資産税(償却資産)の免税点が150万円から180万円に引き上げられることになりました[2]。適用は令和9年度分以後、つまり実務上は令和9年1月提出分の申告から影響します。

「うちの顧問先は資産が少ないから関係ない」と思われるかもしれません。むしろ逆で、免税点前後の小規模事業者こそ、申告義務の有無や資産整理の判断が変わってくるテーマです。年内の設備投資相談にも直結しますので、Q&A形式で整理しておきます。


Q1. そもそも償却資産の申告とは?

償却資産とは、土地・家屋以外で事業の用に供することができる資産のうち、減価償却額が法人税・所得税の計算上損金または必要経費に算入されるものをいいます。機械装置、工具器具備品、構築物、看板などが典型です[1]

毎年1月1日(賦課期日)現在の所有状況を、資産が所在する市町村(東京23区は都)に1月31日までに申告します。税率は標準1.4%です[1]

Q2. 免税点の引き上げで何が変わる?

免税点とは、課税標準額の合計がその金額未満であれば固定資産税が課税されないラインのことです。償却資産は長らく150万円でしたが、物価上昇を踏まえ、令和8年度税制改正で180万円に引き上げられます[2]

令和8年度分まで 令和9年度分以後
償却資産の免税点 150万円 180万円

注意したいのは適用時期です。次回、令和9年1月に提出する申告(令和9年度分)から新基準が適用されます。免税点未満でも申告義務自体はなくならない自治体運用が一般的ですので、「課税されない=申告不要」ではない点はクライアントに念押ししておきたいところです。

Q3. 少額資産はどこまで申告対象?

ここは毎年1月に必ず問い合わせが来る論点ではないでしょうか。国税(法人税・所得税)側の処理によって、償却資産の申告対象かどうかが変わります。

国税側の処理 償却資産の申告
取得価額10万円未満で全額損金算入(消耗品処理) 対象外
20万円未満の一括償却資産(3年均等償却) 対象外
中小企業者等の少額減価償却資産の特例で即時償却[4] 対象
通常の減価償却資産 対象

中小企業者等の特例(即時償却)を使った資産は、損金処理していても償却資産の申告対象になる——ここが実務で最も漏れやすいポイントです。少額資産かどうかの判定単位は、通常1単位として取引される単位ごとに行います[3]

なお、この中小企業者等の特例の取得価額基準についても、令和8年度税制改正で「30万円未満」から「40万円未満」への拡充が盛り込まれています[2]。即時償却できる範囲が広がるほど、償却資産申告への計上漏れリスクも広がる、という表裏の関係は意識しておきたいですね。

Q4. 会計事務所として年内にやっておくことは?

  1. 免税点前後の顧問先の洗い出し:課税標準額150万〜180万円のレンジにいる先は、令和9年度分から非課税になる可能性があります。
  2. 除却・廃棄の整理:使っていない資産が台帳に残っていないか、12月末までに確認。賦課期日は1月1日です。
  3. 少額特例資産の申告漏れチェック:即時償却した資産の申告計上を固定資産台帳と突合。

まとめ

免税点の引き上げは30万円と地味に見えますが、小規模事業者にとっては申告義務・納税負担の分かれ目です。適用は令和9年度分以後という時期のズレも含めて、年明けの申告シーズン前に顧問先へ案内しておくことをおすすめします。


免責事項
本記事は情報提供を目的としており、具体的な税務判断については必ず税理士等の専門家にご相談ください。また、税法は改正される場合があります。最新情報は国税庁等の公式サイトをご確認ください。


参考リンク

  1. 総務省|地方税制度|固定資産税
  2. 令和8年度税制改正の大綱の概要 : 財務省
  3. No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示|国税庁
  4. No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

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