【2026年最新】賃上げ促進税制が大改正!大企業は廃止、中小企業は最大控除率35%へ
令和8年度(2026年度)税制改正により、賃上げ促進税制が企業規模ごとに大きく様変わりします。大企業は2026年3月末で前倒し廃止、中小企業は教育訓練費上乗せ措置が廃止されて最大控除率が45%から35%へ低下——。この春から夏にかけて、顧問先への情報提供と税効果の再試算が急務になっています。本記事では、改正の全体像と実務上の対応ポイントを整理します。
賃上げ促進税制とは、改めておさらい
現場でよく聞くのですが、「賃上げ促進税制は中小企業だけの制度」と誤解しているクライアントが意外に多いです。実際には大企業から中小企業まで幅広く適用される制度で、従業員の給与を一定割合以上増加させた企業に対して、その増加額の一定割合を法人税(または所得税)から控除できる仕組みです。
今回の令和8年度改正は、この制度の「枠組み」そのものを刷新する内容です。要件の細かい変更ではなく、企業規模によっては「廃止」「前倒し終了」という大きな転換点を迎えます。
企業規模別の改正内容——何がどう変わるか
大企業(資本金1億円超かつ従業員2,000人超):2026年3月末で前倒し廃止
実はこれが今回の改正で最もインパクトが大きいポイントです。大企業向けの制度は本来2027年3月末が適用期限でしたが、1年前倒しで2026年3月31日をもって廃止となりました[1]。
なぜ前倒しなのか。政府の説明では「コーポレートガバナンス改革が進んだ大企業にとって、賃上げはもはや株主からも求められる当然の責務」という判断があります。要するに、国が税制で背中を押さなくても大企業は賃上げするだろう、ということです。むしろ厳しい見方をすれば、制度の”使命終了”宣言とも読めます。
令和8年3月期(2025年4月〜2026年3月)が大企業向け制度の最終適用事業年度です。担当する大企業クライアントがある場合は、来期以降の節税戦略の見直しを今から始めてください。
中堅企業(資本金1億円超かつ従業員2,000人以下):要件厳格化のうえ2027年3月末で廃止
中堅企業については、2027年3月31日まで制度は継続しますが、適用要件が引き上げられます[1]。具体的な要件数値は今後公表される施行規則等に定められる予定ですが、現行よりも高い賃上げ率が求められる見込みです。
「まだ1年あるから」と油断は禁物です。要件が厳格化されると、これまで受けられていた控除が受けられなくなるケースも出てきます。賃上げ計画と税効果の試算を早めに見直しておくことをお勧めします。
中小企業(資本金1億円以下):基本制度は維持、ただし上乗せ廃止で最大控除率が低下
中小企業向けは2027年3月末まで現行の基本要件・控除率が維持されます[1]。「中小企業はそのまま使える」と安心する方もいるかもしれませんが、ここに落とし穴があります。
教育訓練費の増加に伴う控除率の上乗せ(+10%)が廃止されるのです。これによって、中小企業の最大控除率は次のように変わります。
| 適用要件 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 賃上げ2.5%以上の基本控除 | 30% | 30% |
| 子育て支援要件 | +5% | +5% |
| 教育訓練費増加要件 | +10% | 廃止 |
| 合計(最大) | 45% | 35% |
出典:[1]
10%ポイントの低下は、たとえば賃上げ増加額が1,000万円の場合、100万円の追加税負担に相当します。これは決して小さくない数字です。
なぜ教育訓練費上乗せが廃止されるのか
「良いことをした会社が得をする制度なのに、なぜ廃止?」と疑問に思うクライアントもいるでしょう。廃止の直接的な理由は、会計検査院による指摘です。
会計検査院が「教育訓練費の増加額よりも減税額の方が大きくなる」という逆転現象を問題視しました[1]。言わば”教育投資よりも節税が大きくなる”という制度設計上の不合理が、廃止の根拠となっています。制度の趣旨(賃上げの促進)に対して効果が薄いと判断されたわけです。
実務上の対応ポイント——今すぐ確認すべき3つのこと
① 税効果の再試算を急ぐ
教育訓練費上乗せ(+10%)を前提に今期の節税効果を計算していた場合、改正後の35%ベースで再試算が必要です。特に決算対策を進めている顧問先については、早急に確認しましょう。
② 大企業クライアントへの早期通知
令和8年3月期が最終適用事業年度となる大企業クライアントには、「来期以降は賃上げ促進税制が使えなくなる」ことを今から伝えてください。代替的な節税スキームの検討時間を確保するためにも、早めのアクションが重要です。
③ 子育て支援要件(+5%)の活用チャンスを見逃さない
教育訓練費の上乗せが廃止される一方、子育て支援を実施している場合の上乗せ(+5%)は引き続き適用可能です。育児休業取得促進や保育費補助など、子育て支援に取り組んでいる顧問先が要件を満たしているか改めて確認し、最大35%の控除をしっかり確保しましょう。
まとめ
令和8年度改正による賃上げ促進税制の変更を一言でまとめると、「大企業は終了、中小企業は縮小」です。
- 大企業:2026年3月末で前倒し廃止
- 中堅企業:要件厳格化のうえ2027年3月末で廃止
- 中小企業:教育訓練費上乗せ廃止により最大控除率が45%→35%に低下
中小企業を数多く抱える会計事務所にとって、この改正は顧問先の税負担に直結します。税効果の再試算と、タイムリーな情報提供——この2点を今期の実務の柱に据えることをお勧めします。
免責事項
本記事は情報提供を目的としており、具体的な税務判断については必ず税理士等の専門家にご相談ください。また、税法は改正される場合があります。最新情報は国税庁等の公式サイトをご確認ください。
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