リード
「うちは紙で出してきたから関係ない」——そう思っていた事務所ほど、令和9年(2027年)1月の改正で足元をすくわれかねません。法定調書のe-Tax等による提出義務の判定基準が、これまでの「100枚以上」から「30枚以上」へ大幅に引き下げられます

。給与所得の源泉徴収票はもちろん、見落とされがちな非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書(F1-27)も同じ判定対象です

。海外取引や外国人スタッフを抱える顧問先を持つ事務所にとっては、いま準備を始めなければ年明けに業務が止まるリスクすらあります。
法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
国税電子申告・納税システム(e-Tax)の概要や手続の流れ、法令等に規定する事項など、e-Taxを利用して申告、納税及び申請・届出等を行うために必要な情報やe-Taxについてのお知らせを掲載しています。
F1-27 非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書(同合計表)|国税庁
改正の核心:30枚基準と「前々年判定」の落とし穴
何がどう変わるのか
令和9年1月1日以後に提出する法定調書については、種類ごとに前々年の提出すべきであった枚数が「30枚以上」のものは、e-Tax、光ディスク等(CD・DVD)、または国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等で提出しなければなりません


。要するに、紙の郵送・持参という選択肢が事実上消える顧問先がぐっと増えるということです。
法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
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No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務|国税庁
ここで実務上のキモになるのが「前々年判定」の仕組みです。令和9年に提出する分は、令和7年(2025年)中に提出した枚数で判定されますhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/hikari_gimu.pdf。つまり、判定材料となる年度はすでに過ぎているケースもあるわけです。「来年から準備しよう」では手遅れになりかねません。
「種類ごと」のカウントを忘れずに
判定は法定調書の種類ごとに行われますhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/hikari_gimu.pdf。給与所得の源泉徴収票だけでなく、報酬等支払調書、不動産使用料等支払調書、そして非居住者向けのF1-21〜F1-28までの各支払調書も、それぞれ単体で30枚を超えるかどうかをチェックする必要があります

。「合計100枚だけど種類別ではどれも少ない」というケースでも、特定の種類が30枚を超えれば義務化対象になります。
F 法定調書関係|国税庁
非居住者支払調書(F1-27)の電子提出フロー
提出対象と金額基準
非居住者または外国法人に対して国内で行う人的役務提供の対価として給与・報酬等を支払う場合、年間支払金額が50万円超であればF1-27の提出が必要です

。海外居住の業務委託先や外国人講師への支払いなどは、まさにこの調書の典型例にあたります。
非居住者又は外国法人に対して給与・報酬等の支払をする場合の支払調書の提出について|国税庁
e-Taxソフトでの作成手順
F1-27はパソコンからe-Taxソフトをダウンロードして調書及び合計表を作成・提出できます

。具体的なフローは次の通りです。
F1-27 非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書(同合計表)|国税庁
- e-Taxソフト(ダウンロード版)またはe-TaxソフトWEB版を起動
- 「法定調書関係」のメニューからF1-27を選択
- 支払者情報・受領者情報(氏名、住所、国籍コード等)を入力
- 支払金額・源泉徴収税額を所得区分ごとに入力
- マイナンバー欄を確認のうえ送信
非居住者であっても、マイナンバーの通知を受けている場合は支払調書にマイナンバーを記載する必要がある点に注意してください

。
非居住者又は外国法人に対して給与・報酬等の支払をする場合の支払調書の提出について|国税庁
CSVファイル一括取込という選択肢
件数が多い事務所では、給与計算ソフトや源泉管理ソフトから出力したCSVファイルをe-Taxへ取り込む方式が現実的です

。標準フォームに沿ったCSVなら、入力作業をほぼゼロにできます。
法定調書CSVファイル作成用 標準フォーム | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
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会計事務所の実務対応チェックリスト
まず今日中に着手したいのが、顧問先ごとの令和7年分提出枚数の棚卸しです。種類別に30枚を超える顧問先を洗い出し、令和9年1月提出分から電子提出が必須になることを早めに案内しておきましょう。
次に、e-Tax利用者識別番号と電子証明書の準備状況を確認します。マイナンバーカードまたは商業登記電子証明書のいずれかが必要で、これまで紙提出だった顧問先は未取得のケースが少なくありません。
最後に、非居住者向け調書を扱う場合は、租税条約届出書の電子化動向と合わせて運用フローを再設計するのが効率的です。届出書と支払調書を別々に管理していると、二度手間が発生しがちです。
まとめ
令和9年1月の改正は、単なる基準値の数字遊びではありません。30枚という数字は、中堅規模の顧問先の多くが「うちにも関係がある」と気づくラインです。判定材料はすでに令和7年分から始まっており、いまから準備しても早すぎるということはありません。とりわけ非居住者支払調書を扱う事務所は、F1-27のe-Taxソフト操作・CSV取込の運用テストを早期に済ませておくことを強くおすすめします。
本記事は情報提供を目的としており、具体的な税務判断については必ず税理士等の専門家にご相談ください。また、税法は改正される場合があります。最新情報は国税庁等の公式サイトをご確認ください。
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